続いてやってきたのは、井信行さんのあか牛。
5月に料理人さんたちと、信行さんに会いに産山村まで行ったときに
(井信行さんに会いに阿蘇・産山村へ。)
私たち、会っていました。
なんだか、嬉しい。
毎年7月に、信行さんが3年前に受賞された、
辻静雄食文化賞の授賞式が東京であるので、
毎年、そのタイミングに信行さんが上京されます。
今年はその前日の7月3日に、京都の南山さんで、
信行さんを囲むイベントを企画してくださったので、
そのタイミングに状態が間に合うように、今回の子はと畜を少し早めました。
それでも、枝肉の便はいつも通り、1日に着く便しかなかったので、
東京に到着したその日に、イベントに必要なウデ1本だけ、
すぐ加工してもらって、翌日に直接、京都まで持ち込みました。
残りの肩は大事にミートラッパーしてもらって、あと1週間ほど。
こういうことって、地味に見えるかもしれないけど、
いろんな立ち位置の協力や、ベストを尽くそうという想いがあって成り立つことで、
最後にこの子がモテモテで皆さんに召し上がっていただくために、
とても大事なことです。
さらに遡ると、今回は信行さんが勘違いして、
一日早く、と場にこの子を連れていっちゃって、
「一日繋いでおくのは可哀そうだから、と畜を一日早める段取りしますか?」
という、と場側の気遣い。
また、G20が関西で開催されて、
「その後も配送状況が乱れているかもしれないから、持ち込みした方が確実。」
と色々と準備を段取りしてくれる加工側の気遣い。
この状態で芝浦まで持ってきてくれて、
自分のキャリーと合わせて、両手にゴロゴロ持って新幹線に向かう私を
「大丈夫か?気を付けてなー!」と心配してくれる気遣い。
そして、私は「もうすぐお父さんにまた会えるからね。」と伝えつつ、
できるだけ振動を与えないように、大切に。
そういう皆んなの気持ちがちゃんと、お肉に伝わっている気がします。
だって、そうして持ち込みして、調理してもらったお肉はとても美味しかったから。
さらに言えば、今回、調理してもらった料理人さんはみんな、
5月の産山ツアーに参加してくださった方々。
井さんの想いや産山村の良さを理解して、
それを何とか良い形で届けようという気持ちが
さらに乗っているおかげもあると思います。
ベストな状態で、この子の命のバトンが最後まで渡されました。
そんな小さな気遣いの重なったすべての経緯を知っているので、
同じテーブルの方々が「美味しい!美味しい!」とペロリと食べてるのを見て
もうそれだけで、あか牛本人と井さんはもちろん、
協力してくださった皆んなの想いが報われたなぁと、
ちょっと涙出そうになりました。
本当にありがとうございました。
と、そんな感じでちょっとフライングしましたが(笑)、
ウデ1本以外はもう1週間ほど枯らして、来週の加工予定です。
今回の子は、27.1カ月齢の去勢で、480.5㎏と、
信行牛にしては大きめの子。
フレームが良かったのかもしれません。
最近のあか牛たち、割とサシが入り気味の子たちが多かったので、
その中でいうと、今回は赤身寄りの子です。
脂質はしっとりしてて好み。
枝の印象では、少し軽やかかな、と思いましたが、
翌日に東京で、信行さんと一緒に食べたミスジも含めて、
赤身の味わいもしっかりあって美味しかったなぁ。
他の部位も楽しみです。
残りはこれからご案内して、来週半ばに加工予定です。