やってくる台風たちにスケジュールを振り回される6月末、
熊本からやってきたのは、井さん親子が育てるあか牛です。

4月末、久しぶりに産山村にある牧場までお伺いして
少し前と違って、牛たちがずいぶん成長していることに
ホッとしたところでした。
おかげさまで、ここ1-2年不定期だった信行牛の出荷が
元々の2か月に1頭の出荷ペースまで戻ってきそうです。
一時、重量が乗らない牛たちを心配しながら
迎え入れている時期があったので本当に良かった。
雅信さんに話を聞いていると、その復活の理由は3つあって、
1つ目には、朝の餌やりの後の日中に牛舎の様子を見に来て
まだ食べられそうな子には餌を足してあげていたこと。
雅信さんは本来、ご自身が担当されている繁殖牛舎があるのですが、
そちらを見つつ、日々の肥育牛たちのフォローもするようになったこと。
2つ目には、肥育牛たちの粗飼料を「牧草」から「野草」に変えてみたこと。

「野草」は繁殖牛たちが食べているものと同じで、
単一品種の「牧草」よりも多様性のある「野草」のほうが
牛たちの体調(内臓の調子)が良くなり、
より健康になって餌の食い込みが良くなったようです。
そして、3つ目には前回の子から少しずつ食べていたのですが、
「くず大豆」が手に入らなくなった代わりに、
「きな粉」をあげるようになったこと。

これは人でも実感するのですが、とても良い香りで
間違いなく、牛たちも食欲が増すだろうなぁと。
見学に行った私たちも思ったけど、雅信さん自身も
餌やりしながら思わず食べたくなると話してました。笑
もともと、信行さんも大豆を炒って擦ってあげているときに
「要するに、きな粉みたいなもんじゃ」
って話されていたけど、その完成品を仕入れている感じです。
そして、それをご自身たちで作っているときは
こんな機械を使って作業していたので、かかるガス代や、
雅信さんの身体のこと考えてもずっと良いのだろうなぁと思います。
もちろん、きな粉が単価的に合えば、という話にはなりますが。

そして、こんな色々な工夫や努力のおかげで
牛たちの仕上がりがずいぶん、復活したのですが・・・
その復活が劇的すぎて逆にびっくりです。

訪問時、今回の子もこんな感じで、
まるまるとした姿で元気に寄って来て、
信行さんも、
「ずいぶん立派になったなぁ。美味そうじゃ。笑」
なんておっしゃっていましたが、なんと、
今までの信行牛の中で一番ビッグな重量になっていました。

「500㎏はいくかなぁ。」と雅信さんも話されていましたが、
まさかここまでとは、と格付けが届いてびっくり。
ただ歩留りは「A」だし、他の数値を見ても
無理やり太らせた感じではなく、もともとフレームが大きかったのを
月齢をかけてスクスク育ったこの子の能力なのかなぁと思いつつ。
実際の内容はこちらでした。
ロース芯。

バラ。

モモ。

脂質。

切開面。


枝肉全体

格付けの印象通り、無駄に脂をつけた感じは一切なく、
本当にすくすく順調に育ったのだろうなぁという印象です。
ロース芯も張りがあって、コザシであか牛らしい程よいサシバランス。
そして、なにより、脂質がしっとりきめ細やかな仕上がりで
とても美味しそうです。
いつも井さんのあか牛を扱っていただいている方にとっては
各パーツ、あまり慣れない重量かもしれないですが、
これも生産者さんの努力の賜物と牛自身の個性と思って
受け止めていただけたら嬉しいです。笑
こちらはもう少し枝で枯らして、7月2週目あたりに加工予定です。