新しい年、2026が明けました。
今年も全国あちこちからやってくる牛や生産者さんたち共々、
どうぞよろしくお願いいたします。
それぞれの牛たちの魅力をきちんと伝えることができるように
今の自分にできることを頑張っていきたいと思います。
まず今年1頭目にやってきたのは福島のエム牧場さんから
こちらの短黒牛のメス。27.4カ月齢です。

短黒牛は赤身の旨味が強い「短角牛」と滑らかな肉質の「黒毛和牛」の掛合せ。
和牛同士の掛け合わせなので、品種としては「和牛間交雑種」と呼ばれ、
和牛の仲間になります。
エム牧場さんでは短角牛の母に、黒毛和牛の父の自然交配で
短黒牛を生ませています。
国内の牛の多くは人工授精、または受精卵移植など、
人の手が介した繁殖が9割以上になるので、牛同士の自然交配で
1つの牛種を生み出しているのはとても希少なことです。
エム牧場さんがこのように短黒牛をつくりはじめたのは
2011年の東日本大震災の影響で、放射能の風評被害で
福島県の農産物が大打撃を受けたのがきっかけ。
「福島にしかないブランド牛」をつくりあげて
福島の牛の価値と信頼を取り戻そうとしたとのこと。
そして、この子たちが生まれたエム牧場いわき農場では
地元のスーパーで出た野菜くずたちをあげて
短角母牛と仔牛たちを育てているそうで
そういったことも含めて、自然体で生まれ育った、
地域密着の子たちになります。
さらに、もともと短角牛はとても身体が強い品種なので
そんなお母さんの母乳で育った短黒牛たちも健康体で、
ほとんど治療をすることがないそうです。
まさに理にかなった育て方。
また昨年、餌に関しても、デントコーン、稲WCS、牧草、
キノコの廃菌床に加えて、モネンシンフリーの配合飼料を
1日3㎏程度と、よりナチュラルな方向にシフトされたのですが、
秋からはさらに進化して、地元・福島の酒粕を加えたとのこと。
その酒粕の香りがより牛たちの嗜好性をあげているようで、
牛舎内も良い香りに包まれ、牛たちの餌への食いつきも
より上がったそうです。
栄養素たっぷりなので健康的にもなって
大元はお米なので、カロリーも摂取できて
肉量(皮下脂肪ではなく…笑)もつけてくれると良いなぁと。

こうして、福島テロワールで育てられた短黒のお肉は
母の短角牛寄りに出るか、父の黒毛和牛寄りに出るかで
結構、仕上がりに幅があります。
ただ餌を変えた影響もあってか、直近1年間は
赤身の短角寄りの子が出ることが多かったのですが、
そんな中、今回の子は今まで扱わせてもらった中では
一番、黒毛寄りの仕上がりになりました。
格付けはこちらです。

A4等級は自分が扱う中では初めて。
実際の内容はこちらです。
ロース芯。

バラ。

脂質。

切開面。

枝肉全体。

4等級(BMS6)とはいえ、コザシなので、
品のある霜降りの入り方です。
そして、ロース芯がきれいな形で大きいのは
育ちの良さを感じてやっぱり嬉しくなります。
バラの厚みもしっかりで焼肉にも良さそうです。
そして、実は今回の子は1月の加工に向けて、
12月下旬に出荷をして、枝肉の状態で
ゆっくり熟成しながら年越しをしてもらいました。
なので、今回やや厚めの皮下脂肪も
赤身を守ってくれるためにはちょうど有難く。
そして、さらにミートラッパーにしっかり守ってもらいながら。
もう1週間ほど熟成させて、1月の2週目あたりに加工予定です。
今年も続々と色んな個性の子たちがやってくる予定です。
2026年の牛たちもどうぞよろしくお願いいたします。