2年前の8月の夏休み。
岩手・雫石の放牧地の光景です。
黒毛の繁殖牛たちに混じって、中屋敷ファームのジャージー♂3頭も
山にあがって、約5ヶ月間を放牧地で過ごしました。
牛舎から車で10-15分程度でいけるこの距離感に
公共の牧野があることはとても魅力的なことです。
そして、生まれるタイミングさえ合えば、できる限り、
肥育するジャージーを放牧に上げたいと考える理由の1つはこちらです。
肥育中期の持久的な運動負荷は日本短角種肥育牛のロース芯面積を大きくする | 農研機構 (naro.go.jp)
経験的になんとなく感じていたことを裏付ける研究結果を教えて頂きました。
牛種変われど、なにかしらこの要素はあるのかな、と期待しています。
そんな3頭のうちの1頭、今回出荷になったのは
頭に白いブチのある、こちらの子です。
この子は生まれて1週間で、岩手・奥中山のジャージー酪農牧場、
「ブライアーファーム」さんから
雫石の中屋敷ファームにやって来ました。
放牧地では、初めて牛に触れあう甥っ子君たちとも遊んでもらいつつ。
放牧で身体をしっかりつくってもらって牛舎に戻った後は
いつもの中屋敷さん手作りの国産100%の飼料で育てられました。
「一番草」「有機大豆サイレージ」「デントコーンサイレージ」
「子実トウモロコシ」「くず大豆」「米ぬか」「きのこ廃菌床」のMIX。
頭の3種類は中屋敷さん自身が育てて収穫したもの。雫石産です。
輸入飼料に頼らずに、地域の資源をフル活用して
持続可能な畜産の形を目指しています。
そして、山から降りて1年半、広々とした牛舎で、
こちらの餌をたっぷり食べて、今回の出荷です。
つい先日、出荷直前に会えたときの姿がこちら。
芝浦で再会を果たした実際の枝肉内容はこちらです。
枝肉重量316㎏、格付けはBMS3点のB2でした。
ロース芯。
バラ。
モモ。
脂質。
切開面。
同じタイミングで出荷したジャー黒(ジャージー×黒毛)と比べると、
同じ餌を食べてきていても、
脂の色は、純血ジャージーのがクリーム色が強いので
やはりカロテン要素を残しやすい体質なのだな~と。
加えて、ほぼ同じ月齢でも黒毛が入ると+100㎏くらい枝重量が乗ったり。
ジャージ―純血を好んでくれる方々もいらっしゃるし、
ジャージ―単体の価値もちゃんと育てあげていきたいのですが、
やっぱり黒毛の能力ってすごいって目の当たりにする瞬間でもあります。
にしても、このロース芯のきれいな真ん丸の形や
程よいコザシのバランス加減から、この子の育ちの良さが伝わってきて、
ジャージーらしい肉色のしっかりさも含めて、
今までの経験から、これは美味いだろうなぁと確信が持てる内容です。
もう少しだけ枝で枯らして、6月半ばくらいに加工予定です。