東海大学の農場で、竹をバキバキ食べる
愛らしさたっぷりのあか牛さんたちと触れ合って、
「すごい可愛かったねー!楽しかったねー!」って、
テンション上がった後は、産山村の井さんの牛舎へ。
牛舎に近づくにつれて、懐かしい光景が見えてきて、
前回過ごした時間を思い出して、またまたテンション上がってきました。
到着すると、ちょうど牛たちにオカラをあげてる井さんの姿。
「わぁ相変わらず、お元気そうで良かった!」
と思って、嬉しくなって近づいて行って、ふっと横をみたら
これまたビックリ。
久々に会ったジャージー君たちが巨大化してました・・・。
小柄なイメージのジャージーのはずが、
肉牛っぽく、なんかムチムチになってる。。(*_*)
「えー、こんなに大きいジャージー、初めて見た~!!
ジャージーってこんなに大きくなるの?!」
ってみんなで驚いてると、井さんが嬉しそうに、
「私、分かりましたー!」と。
なにがなにが?と聞いてみると、
「みんなジャージーは大きくならないっていうけど、
グッと大きくなる成長のタイミングが他の牛より遅いだけなんです。
ここ数カ月でグッと伸びました。大人になる速度が違うんです。」
とのこと。
確かに前回、お邪魔した2月の頃は30カ月齢前後で、
その時で、370㎏くらいの枝肉仕上げていて、
それでも十分すごいっ!と思っていたけど、
「あと半年飼えば、間違いなく400㎏もいけます。」
って井さん言ってたなぁって思い出しました。
それを実践して見せてくれたわけです。
(あ、まだ枝肉になっていないですが、生体で700㎏近くあります。)
ジャージーのお肉はとても美味しいのに、
ジャージーの男の子が生まれた時に価値を見出されずに
今までたくさん処分されてきた理由の一番は、
とにかく重量がつかないということ。
先人たちもチャレンジして、もう餌代にもならなかったんだから、
やってもしょうがないんだよ、って、
井さんも地域で変わり者という冷たい目で見られているとのことでしたが、
私も去年、岩手でジャージーの肥育を取り組み始めようとしたときに
同じ目線を感じました。
素人がなにをやろうとしてるのか、
間違いなく、商売にはならないよ、と。
でも、そのネックになる部分を排除できる可能性を井さんが
見せてくれたら、今後のジャージー王子界に
すごーーーい可能性が広がると思うんです。
そして、月齢を長く飼う中で、井さんはそのお肉が口に入るときの単価も
しっかり考えられていて、国産飼料100%にこだわりながらも、
コストを削減する努力を常にされてます。
そして、地域にある資源を最大限生かそうという努力も。
阿蘇の草原の草を主体にしながら、熊本県産を中心にした穀物飼料のみ。
前回訪問したとき、
「これでいけば、ジャージーの枝単価、このくらいだったら合います。」
という井さんに、
「え、そこまでこだわって月齢飼ったら、美味しさがちゃんと伝われば
このくらいの単価でもいけると思いますよ。」
と、もう少し高い単価を言ったら、
「いかん、それじゃ俺がもらいすぎじゃ。」
って言われたのがすごい印象的でした。
生産者、流通業者、レストラン、消費者、関わるみんながきちんと
笑える形じゃないと長続きしないということをしっかり認識されています。
生産者さんの立ち位置で、ここまで考えられている方は数少ないと思います。
そして、お隣の小国町ではジャージー酪農がさかんで
年間500頭のジャージー雄の命が生かされていないのが現状とのこと。
なので、井さんはこのジャージー肥育のモデルケースをつくって、
阿蘇/小国牛として、ブランド化して、後の世代に繋げていきたいとのこと。
「私、あと5年はやるから、それまでにきちんと形にしたいんです。」と。
(ちなみに、あと5年っていうのはだいぶ前から言ってらっしゃるらしいので、
ずーっと、あと5年って言ってくれると思いますが。笑)
「こんな貴重な、大切な命、生かさない手はないでしょう。
阿蘇には餌となる草原もたっぷりあるのに。」
という井さんのこの想いに強く共鳴します。
私も同じことを思って、岩手で中屋敷さんと一緒にスタートしたので。
(でも、これは井さんにとっての熊本あか牛、
私にとってのいわて短角牛と黒毛和牛、その土台ありきでの話。)
なので、
「今残っている最初に入れた7頭が、この地域の未来を左右する、
とてもとても大事な子たちなんです。」
という、この取り組みに関わらせていただくことになりました。
まず、1頭目が、東海大学のあか牛と一緒に枝肉で東京に8月後半にやってきます。
どちらにも共通するのは、自分たちの利益が第一ではなくて、
後の世代にどういう形で、この地域の畜産の形を繋げていくか、
それを考えての取り組みであること。
一人では抱えきれない大切すぎる命ですが、
加工してくれる方々、届けてくれる方々、扱って調理してくれる方々、
食べてくれる方々がいてくれるおかげで、向き合わせてもらうことができます。
良い形で繋げていけるように精一杯、努力します。
今回の熊本時間もたくさんの皆さまのおかげで有意義な時間となりました。
本当にありがとうございました。