井さんの次なるチャレンジ。

「ジャージー雌で不妊牛たちが結構いるんです。
 その子たちを半年くらい再肥育して、出荷しようと思うんだけど
 いかがですかね?」

井さんから、その話を聞いたのは、今年2月に大阪でのイベントで
お会いした時。

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ジャージー去勢を35カ月齢くらいまで井さんが肥育して、
しっかり重量を乗せた子を、去年夏頃からお届けしていて、
すでに、その味にはかなり評判を得始めていた頃。

実際、ジャージーの去勢は、哺育を終えた5カ月齢くらいで導入して、
2年半~3年、井さんのところで肥育されていました。
コストを計算して、「枝単価、このくらいなら合います!」
っていうことでスタートしたけれど、
牛舎や土地に余裕あるところならともかく、
牛舎が非常に限られた井さんのところで、
それだけの時間、牛舎の1マスを滞留させてしまうのは、
実際には経営を考えると、とても非効率なことでした。

そこで、井さんが考えられたのが、
ジャージーの不妊牛たちを導入して、再肥育を半年くらいして、
仕上げて、出荷すること。

本来、乳牛であるジャージーは女の子でも、妊娠して子供を産まなければ、
乳を出すことができないため、結局、種がうまくつかない女の子は
男の子と同じ扱いになってしまい、評価がグッと低くなってしまうわけです。

ジャージー産地である阿蘇小国のジャージー頭数の母数を考えると、
そういった不妊牛たちも、ある程度の数が出ている、と。
酪農家さんが、種付けを諦めるタイミングにもよるけれど、
「30カ月齢近くなってる子たちも結構いるから、
 私がそこで引き取って、半年再肥育して仕上げれば、
 その時点で35-6カ月齢になります。」

それまでのように、ジャージー去勢で400㎏まで仕上げていたのとは違って、
繁殖牛としてずっと育てられてきたジャージー雌は
フレームが違うから、お肉がついてもそこまでは大きくならないと思う、
350㎏いけば立派なもので、せいぜい300㎏くらいかな、と。
でも、去勢ですでに評判の良いジャージーのお肉だから
未経産の雌で、きちんと私のやり方で再肥育して仕上げたお肉だったら、
皆さんに喜んでもらえるでしょうか、と。

そんな話を2月、大阪での昼間のイベントが終わって、
ホテルに戻った後、二人でちょっと夜ゴハンでも、
って、プラプラ商店街をお散歩して探したお寿司屋さんで
食事しながら、初めてお聞きしました。

その話を聞いただけでも、私の興味はMAXでした。
「いやいや、そのジャージーきっと美味しいでしょう!
 ぜひ、やりましょう。」
と。

その後、井さんは5月に、そんな子たちを4頭、導入されました。
その1頭目の子が、先週26日にと畜されて、来週枝肉になって
やってきます。

井さんはあんまり細かく月齢を気にしていないから(笑)
10桁を聞いてから、調べて判明したことが、
その子はなんと、44.9カ月齢になっていました。
思わず、「本当に産んでない?」って確認しちゃいました( ̄▽ ̄)

そして、枝重量は281㎏でしたが、なんと内臓の重量は39㎏もありました。
もちろん、廃棄なし。
この内臓は150㎏くらい大きいあか牛の去勢の時より5㎏くらい大きかったり。
未知の世界。
一体、どんな子なんだろう。

井さんのチャレンジは止まること知りません。
お付き合いさせて頂けていることに感謝。
今週、お出迎えするのが楽しみです。