先週末は、2カ月ぶりの岩手でした。
せっかくなので、いろいろな予定をくっつけながらも、
メインの目的は、雫石にいるこの子に会いに。
9月に、盛岡で大事なイベントがあって、
それに向けて何か良い子がいないかな、という相談を受けて、
ずっと考えていました。
前回のイベントで、初めてジャージー母さんの再肥育した子に
向き合わせて頂いた会の続きです。
さて、前回がなかなか興味深いチャレンジをさせてもらったしなー、、と
悩んでいたところ、ちょうど出荷タイミングを迎える良い子がいるという連絡。
この子のお母さんは、「ごくう1」と言って、
11年前に宮崎からやってきた子です。
その時に「福之国ー安平」という血統を見て、
「福之国」という血統がこれから良いよという情報を得ていて、
岩手の市場にほとんど出てくることのなかった、
その血統が上場するのを名簿で見つけて、
まだ牛飼いを始めて間もなかった中屋敷さんが買われたそうです。
ちなみに、その「ごくう1」を宮崎で買ってきたのは
門崎丑牧場の千葉社長。
他の方に売ろうかと市場に出したのに、
まったく知らない中屋敷さんが買っていって、
「中屋敷って誰だ?」となったきっかけらしいです。笑
その後、繁殖牛として、1産、2産していく中、
生まれてくる仔牛たちもまた牛が良くて、順調に母牛として活躍していったそう。
そんな時ふと、「ごくう1」の出荷元の宮崎の生産者さんから、
買い戻させてもらいたいという連絡が入ったそうです。
やはり、とても良い血筋の牛だったのでしょう。
その時、仔牛を買ってくれた岩手の肥育農家さんに相談したら、
良い血だと思うから、ぜひ岩手に残して欲しいと言われ、
お断りして、そのまま残したそうです。
さらに、岩手県の種牛をつくる「種山センター」が
その血の良さを聞きつけて、「ごくう1」の仔牛で県の種雄牛候補を作りたいから、
受精卵を取らせてもらえないか、と連絡が来たそうです。
その時に何の種をつけて、受精卵を取りたいか聞かれて、
その当時、肉質の評価がとても高かった岩手県の種雄牛の
『菊安舞鶴』(安福165の9-紋次郎-茂重波)をつけたそうです。
そして、受精卵を取ったときに、
卵が2つ、『ごくう1』のお腹にも残っていたそうです。
その2つからは雌と雄がそれぞれ生まれて。
実はその雌は中屋敷さんがそのまま肥育して、
つい先日、芝浦市場で開催された全農共励会で、見事、優良賞に入りました。
そして、一方、種山センターの方で生まれた中のうち、
雌が1頭、仔牛市場に出てきたそうです。
(種雄牛センターなので、雌はいらないため。)
それを知って、中屋敷さんが市場で買い戻したのが、
今回の子、26ごくつるです。
この子は仔牛市場に出てきた時はとても小さめだったそうですが、
牛が良かったので、その重量の割には良い単価だったそうです。
そして、お母さんにしようとしたのですが、なかなか種が止まらず、
4回くらいチャレンジした後、諦めて、ゆっくりと肥育を始めたそうです。
繁殖を諦めてからの肥育期間はだいたい1年くらい。
現在、33カ月齢、来月出荷予定で34カ月齢です。
「餌食べなくなってきたの?」
「いや、だんだん寝てる時間が多くなってきたんだ。」
とのことで、そろそろ出荷してあげる時期がやってきたようです。
ある方にお見せしたら、
「このお尻の形に但馬の血が良く出てる。」
と言われました。
足も短くて、詰まってるので、コロンとしていますが、
枝重量は300-350㎏くらいと、小さそうです。
この子に決めました。
そして、さらに、この子が枝になってからも、
最善を尽くして、手をかけてあげられたらなぁと
あるご相談を進めています。
お母さんにはなれなかったけど、それぞれの段階で
ちゃんと評価され、求められてきた子です。
お肉になってからも、ちゃんと最大限に評価されて欲しいと思うので、
自分にできる限りのこと、頑張らせて頂きます。