『ファクトフルネス』

たまたま、ふっと手に取って、『ファクトフルネス』という本を読みました。
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FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

私たちが元々持っている思い込みを鋭く指摘されて、
様々なデータをもとに世界を正しく理解することを
たくさんの実例とともに教えてくれています。

まず冒頭で、13の質問が出されているのだけど、
そちらをやったらほぼ全滅で、ひえーってなったのだけど、
実際、正解率は本当に低いらしい。

例えば、

質問1 現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?
A 20%
B 40%
C 60%

などなど。

見てたら、共訳者のお一人である上杉周作さんが作成された、
オンライン版の12のクイズがアップされていたので、
もしご興味あったら試しにやってみてください。

ファクトフルネス12のクイズ

本自体はとても話題になった本のようで、
あちこちで書評などが書かれているので、それはお任せするとして。

読み終えて、素直な(単純な)私は、
実際、自分が関わっている業界の動きに関して
果たして、ちゃんと正しく理解しているのだろうか?と思って、
感覚だけで話すのはやめようと、仕事の合間に少し調べてみました。
そういう視点になると、見方がまったく変わるもので、
興味あるデータは溢れるほどたくさんあったけど、
まずは次の2つの資料から目を通してみました。

Ⅱ肉用牛
畜産の動向

②は、今年1月に農水省のホームページにアップされたもので、
最新の情報です。
(なぜか20.2.20今現在、ページがエラーになっていますが。)

①は何かで検索したら出てきたので、何のⅡなのか分からないのと、
どんなキーワードで検索したのか、すでに忘れました。笑
こちらは、平成16年までの数字でちょっと古いのですが、
それでも昭和50年くらいからの20年以上の期間、
色んな品種の改良の数値が出てきて、目に留まりました。

黒毛和牛はもちろん、短角牛やあか牛の、
枝肉歩留りや、脂肪交雑などの年ごとの変遷が出ています。
現行のBMS表記になっている平成3年からの脂肪交雑が
黒毛やあか牛はやはり上昇傾向にあるけど、
短角牛は行きつ戻りつで変わらず。
枝肉歩留りはあか牛は良くなっているのに対して、
なぜか黒毛、短角牛は低下傾向。
頭数に関しても、例えば短角牛は減少傾向ではあるものの、
中には増えている年もあって、この年になにがあったのか、
調べてみるのは面白いかも。
とはいえ、こちらは平成16年までの指標なので、
これがその後、どんな数値をたどっているかは分かりません。
この続きの資料があったら見てみたいところです。

他、こういった統計数値の中に、和牛4品種に加えて、
アンガス種やヘレフォード種の子牛登記の数値が出てくるのが興味深かった。
時代なのかな。

そして、その子牛登記に関して、高知系褐毛和種と無角和種は、
黒毛和種の中に含まれているという。
思わず、へー!って。
そちらの登録協会に所属しているらしい。
そういえば、だから4年に一度の和牛のオリンピック・全共に
土佐あかうしは出られるけど、短角牛は難しいかもって、
宮城のときに話していたなぁってふと思いだしました。

そして、最新の②の資料から学ぶことも。
輸入飼料に関しては配合飼料よりも、粗飼料のが価格が高いっていう
当たり前の人にとっては当たり前のことも、
知らなかったりするので、興味深いです。
勝手なイメージで、配合飼料のが高いのかと思っていたけど、
そういえば、去年八丈島に行ったときに、エコフィードの餌屋さんが
言ってたなぁって、数字がいろんな記憶に繋がってきます。

そして、新型コロナの収束が見えない今のタイミングだからこそ、
改めて、目に留まったグラフがこちらでした。
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こちらは、枝肉の卸売価格の変遷ですが、
平成13年のBSE、平成23年の東日本大震災、
何か起こる度にガクンと相場が落ちますが、
必ず、その翌年には上昇が始まって、
平成27年末~28年は、特に黒毛和牛の最高水準を記録しています。

私はBSEの時は一般消費者でしかなかったけど、
東日本大震災のときは出荷側としてセリに立ち会っていて、
数百円で枝肉がどんどん落札されていくのを
信じられない気持ちで見ていたのを覚えています。
生産者側の立ち位置として、
2年~3年かけて大事に育ててきた牛たちの単価としては
この世の終わりのような光景でした。

でも、その後、必ず、相場は上昇傾向になっている。
需給関係のバランスはあるにせよ、少なくとも求められている。
それに向けて、渦中のときにそれぞれの立ち位置で、
どういう行動をとっていくのか。

今、このグラフを見ると、励まされながら、
「さて、あなたは今どうするの?」
と試されているような気持になりました。

ファクトフルネスの訳者あとがきにこんな言葉がありました。

『この本が世の中に残る一冊になるだろうと考える理由は、
 この本の教えが「世界の姿」だけではなく、「自分の姿」を見せてくれるからです。
 知識不足で傲慢な自分、焦って間違った判断をしてしまう自分、
 他人をステレオタイプにはめてしまう自分、誰かを責めたくなってしまう自分。
 そんな自分に気づかせてくれ(る)』

出会いってなにかタイミングがあるような気がします。
ご興味あったらぜひ読んでみてください。