【入荷情報】信行牛<あか牛>♂31.7カ月齢(自家産)

2022年最後のゲスト牛。
大トリは井信行&雅信さんのあか牛です。
今回も自家産ですが、しばらくメス続きだったので
久しぶりの去勢くん。

31.7カ月齢で、名号は『春光重』。
牛に名前をつけるとき(和牛の場合)、
女子はひらがなで、男子の場合は漢字と決まっています。
この子は、父『春山都』、祖父『光晴重』の名前の一部をとって
つけられたようです。

いつも、あか牛の枝肉が東京までやってきてご対面する前に、
まず、枝肉重量のお知らせ、そして、内臓に廃棄があるかないか、
順に連絡がきます。

今回の子は枝重446㎏で、井さんが育てるあか牛としては
この月齢・去勢であれば、安定感のある仕上がり。
その後、内臓も廃棄なしで全部揃った状態で届くことが分かり、
最後まで健康に生きてくれて良かった~とホッと。

そして、続いてやってくるのが格付け明細です。
今回の格付けはこちら。

こちらでは、さらに、
①等級(A2)     →サシはいつも通り、赤身の2で安心。
            BではなくAなので歩留りも良いんだな。
②胸最長筋面積(58) →ロース芯の大きさ。枝重に対して、しっかりした大きさで良かった。
③BMS(3)      →脂肪交雑。サシが入るときは5くらいのときもあったので、3で◎
④BCS(5)      →肉の色。肉色も濃いめが好みなので良し。
⑤BFS(3)      →脂の色。そこまで黄色味が濃くはない。程よいクリーム色かな。

とか、そんなことたちを想像します。
規格を詳しく知りたい方はこちらを。
牛枝肉取引規格  

その中で、今回は右のほうに⑥瑕疵(かし)=傷の欄に、
『ウ』僧帽筋左、とあります。
ウはシコリで、僧帽筋はリブロースのカブリのこと。

井さんのあか牛は瑕疵がほとんどないです。
それは飼養管理でいろいろな気配りをしてくれていることに加えて
食べているものができるだけ牛の本来の生理にあった、
粗飼料主体であることも大きいかと思います。

信行牛 PR movie『希少和牛”くまもとあか牛”を手作りの100%国産エサで育てる信行牛』

そして、この格付けを見たときに、自分が初めてお会いした
熊本あか牛の生産者さんである臺(ダイ)さんの話を
ふと思い出しました。
臺さんが、あか牛を育て始めたとき、その地域で
牛飼いの名人と言われる生産者さんに育て方を教えてもらったそうです。
そうしたら、最初に育てたあか牛たちが目が見えなくなっちゃって
可哀そうで、申し訳なくて、なにか違うんじゃないか?って思って
自分だったらこういう風に育った牛を食べたいっていう想いで、
自分なりの飼い方を探っていったとのこと。

熊本訪問記。(7年前、初めて熊本訪問したとき!)
この時、臺さんは放牧肥育にチャレンジされていました。

もう今は牛飼いを引退されたとお聞きしているけど、
私はこの臺さんがとっても大好きです。
初めてお会いしたとき、
「いつか自分で牛飼いたいです」って話してたら
「そんなの、やる気になったらいつでもできるわよ。頑張って」って。
臺さんのお人柄と生き方に元気もらったなぁと。

ちなみに、今回のあか牛の瑕疵であるシコリは筋炎のことで、
ビタミンの欠乏由来によるものや、アタリ傷や注射痕などからくるとされています。
今回のカブリのシコリがどんな理由か分からないけど、
少なくともビタミン欠乏はないかと。
以前、黒毛の双子の枝をみたときに、2頭ともカブリがシコリだったことがあって
その時に、もしかしたら血筋も影響あるのかなぁって思ったことがあります。
そして、カブリのシコリは他の部位に出ることはなく、
ここだけで完結するっていうのが特徴です。

大好きな臺さんに想いが飛んで話が逸れましたが、
そんな今回のあか牛くんの内容はこちらです。

ロース芯。

バラ

モモ


脂質

切断面

ロース芯の細やかなサシの入り方。
筋間脂肪の薄さ、脂質の雰囲気。
格付けから想像していた通り、
カブリのシコリ以外はいつもの井さんのあか牛です。
ここのところ、仕上げの時期に飼料米を抜いてもらってる影響か、
一時に比べて、赤身寄りに戻ってきた感覚です。

今年のクリスマス、年末年始にはこちらの井さんのあか牛<信行牛>で
皆さまに良き時間を過ごしてもらえますように。
もう少し枯らして、今週末あたりに加工予定です。