続いてやってきたのは、
育ちの地である岩手・雫石の恵みをたっぷり食べて育った、
中屋敷ファームのジャー黒♂33.8カ月齢です。
生まれはもちろん、岩手・奥中山の三谷牧場さん。
この子は3年前のゴールデンウィーク直前に三谷さんちで生まれて、
1週間後に中屋敷ファームにやってきました。
そして、この年のゴールデンウィークはたまたま、
シェフと、餌でお世話になっている酒井さん母娘も
東京からきて、一緒に牧場巡りツアーをしていました。
なので、娘さんがミルクをあげている、こんな貴重なシーンが!!
今回、ちょうど酒井さんからお肉のご注文を頂いていたので、
「娘さん、この子にミルクあげてましたーーー!!!」
って思わず。。。
都会で育つ子どもにはきっとあまりない経験だろうなぁ、
自分がミルクあげた牛のお肉とご対面する機会。
こんな経験が小さくてもなにかを残してくれると嬉しいなぁと思います。
そして、
「よし、やっぱり今年は産地案内を思う存分させていただくぞ!」
と改めて思う瞬間でもあります。
3頭になってからは、左右は入れ替わっても
この子は絶対真ん中にいるんだよなぁ、性格的なものなのかな。
そして、この後からの1年間は、東北農研さんに設計してもらった
雫石周辺の恵みをふんだんに使った餌で育てられました。
少しずつ内容は変わりながらも一番直近で食べていた飼料の内容は、
「一番草」「有機大豆サイレージ」「デントコーンサイレージ」
「子実トウモロコシ」「くず大豆」「米ぬか」「きのこ廃菌床」です。
国産飼料100%。
さらにいえば、雫石産の比率が少しずつ上がっていってます。
元々中屋敷さんが自分で作っていた一番草、有機大豆サイレージに加えて、
今年からはデントコーンサイレージも自身で育てはじめました。
【去年の5月、デントコーンの種を撒いている光景】
あと、米ぬかに関しては、雫石のすぐご近所の農家さんが
元々つくって袋詰めにしていたとのこと。
「え、そんな近くに宝が眠っていたの??」
っていう正に『宝山』の名前の由来の通りです。
そんな贅沢な餌で育てられて、33.8カ月齢、750㎏まで立派に育ちました。
ちなみに、黒毛の血統は『舞菊福(菊安舞鶴-美津福-糸秀)』と
但馬系の血が強い、岩手で作られた種であることもなんだか嬉しく。
枝重量は440㎏だったので、生体からの枝肉歩留りは58.6%でした。
実際の内容はこちら。
いやぁ美味しそうです、素直に。
この脂質の良さと、赤身のテリとサシバランス、好みど真ん中。笑
今回、脂の黄色味加減はちょっと控えめ。
後ろにいる黒毛の脂の色に比べたら、もちろんクリーム色ではありますが。
餌の配合バランスが影響しているのかな。
また前回のジャージーを扱ってくれたシェフから頂いたご意見を
飼料設計してくれる農研の方にお伝えしながら、
今回の脂の色味の件などについてもやり取りしていて、ふっと。
こうして、実際の末端のリアルな声が直接、オンタイムで
牛たちが食べる飼料をつくってくれる方に届いて、
料理人さんたちも含めて、生産者さん、研究者さんたち、
それぞれの専門家と一緒に作り上げられていくお肉を扱わせてもらえるのって
なんて凄いことなんだろうって思いました。
全員参加型で、未来を見据えて育てあげていくって。楽しすぎます。
ありがたいなぁ。
こちらの子はこれから少し枝で枯らして、3月頭に加工予定です。
また、今回、中屋敷ファームが牧場紹介の動画を作られたとのこと。
どちらも4分程度と短い尺でYouTubeにUPされているので、
もしご興味ありましたらぜひ見てみてください。