【入荷情報】信行牛<あか牛>♂36.6カ月齢(自家産)


「なんか懐かしい。」

今回の井さんあか牛の枝肉が入荷してご対面したときに
思わず、ポロっと出た言葉です。

今回の子は、枝肉全体に最近の井さんのあか牛とは
ちょっと違う雰囲気を纏っていて。
最初に思ったことは、「なにか餌の比率を変えたのかな?」でした。

信行さんも今月の28日で87歳の誕生日を迎えられます。
当然のことながら、だんだん体力も落ちてきているので、
息子さんである雅信さんに仕事を委ねて任せはじめている部分もあり、
少しずつ、私も雅信さんと連絡やり取りをすることも増えてきています。

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信行さんには監督のように後ろでしっかり見守ってもらいながら、
その想いや努力、周りとの関係性が、良い形で
雅信さんに引き継がれていくと良いなぁと思いながら
みんなで向き合っている最中です。

そんな中だったので、なにか意識的に変えてもらった部分があるのかな、
と思って、雅信さんに聞いてみたら、
「あ、それは血統的なものかもしれない。母牛が古い血筋の牛だったから。」
とのこと。

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この子のお母さんは、5年くらい前に近所で辞められる農家さんがいて、
そちらからやって来た母牛だったそう。
やってきたときで11歳、この子を産んだときで14歳だから、
お母さん牛としての能力に恵まれていた子だったんだろうなぁと。

なんとなく、『昔の牛』っていう印象を感じるのは
そのお母さんの古い血筋の流れの影響なのか。

「丸々とした体型じゃないし、まるっと3年も飼ってもらって
 460㎏っていう枝重量は 肉牛として優秀じゃないかもしれないけど、
 なんか好きです」

って伝えながら、経済動物として人間に都合の良いように
(早く大きく、そして、サシができるだけ入るように)
改良されていくことが本当に良いことなのか、
思わず、立ち止まって考えちゃうところです。
改良はありとしても、生産者さんの選択肢として、
こういう血筋も、一つの流れで残して欲しいなぁと思います。
お肉を扱わせてもらう立場として。

そして、今後は仔牛市場からの導入はほぼなしで、
雅信さんのところで生まれた子たちを素牛として肥育されるそうなので、
こういったところまで遡って知ることができたり、
逆に、繁殖してくれる方に末端から頂く声をお伝えできることも
大きな強みだなぁと思っています。

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ただ、希望をお伝えするその先には、
「その子たちが生まれてきて、大事に育てられ、
お肉として出荷される3-4年後もお付き合いさせて頂きます」
という責任も同時に生まれてくるわけで、
やっぱり、そこが牛肉の大変さや難しさでもあるのだろうな、と。

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その感覚を一人でも多くの料理人や消費者の方々と共有したくて、
私はいつも、このようにお肉の背景にある、
生産者さんや牛たちのことを伝えようとしています。

そんなお一人、強い信念を持ちながら草を主体に地域にある国産飼料100%で
あか牛を育てられている井さんの取り組みの詳細はこちらです。

井信行さんについて

そして、「なんか懐かしい」と感じた、今回の枝肉内容はこちら。

格付け表。
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ロース芯。
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バラ。
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モモ。
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脂質。
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切断面。
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素朴。
という言葉がなんかしっくりきます。
ロース芯の控えめなコザシの感じ。
脂の濃いクリーム色と、この独特のモチフワっとした質感。
体型もまるまるとはしていなくて、
全体的に洗練されていない感じになんとも心惹かれます。

一般的には誉め言葉じゃないかもしれないけど、
私にとっては最高の誉め言葉なんです。
・・・この気持ち、分かってくれる人いるかなぁ。笑

あとは、お届け先でお肉がどういう評価を受けるか。
楽しみです。

こちらの子はもう少し枝で枯らして、3月下旬に加工予定です。