群馬・下仁田にある「神津牧場」名物の、
放牧地から搾乳に向かう母さんジャージーたちの『牛の行列』。
去年の5月、埼玉・東松山の国分牧場さんがジャージー男子たちを
神津牧場さんに引取りにいくとき声をかけてくれて、ご一緒させて頂き、
やっと夢に見ていた(笑)名物の光景を生で見れました。
今回の子はその時やってきた子たちのうちの1頭でした。
神津牧場といえば、日本を代表するジャージー牧場です。
1887年に牧場を開拓した「神津邦太郎」さんは福沢諭吉先生のもと、
慶応義塾大学で学んでいて、弱冠22歳で日本で初めての西洋式の牧場を
作ったそうです。
『バターはカウヅにかぎる』という福沢諭吉先生のキャッチコピーも残っています。
ジャージーはミルクを出してくれる乳牛ながら
当たり前のことですが、ミルクを出してくれるのは
赤ちゃんを産んだ後のお母さん牛のみ。
男の子は生まれた時点で、ミルクを出さないことは確定なので、
乳牛ながら、肉用として育てられることになります。
そんな乳牛男子たちでも頭数がたくさんいるホルスタインは
ちゃんと肉用としての市場がつくられて、ある一定の出口があります。
ですが、頭数も少なく、さらに肉量をつけにくいジャージー男子の
お肉はまだまだ出口が確立されていないのが現状です。
出口が確立されていないということは、生まれた時点での命の評価が
低いということに繋がります。
7年前にその事実を知って、私は衝撃を受けました。
(その時のブログ→おさんぽジャージー@三谷牧場さん)
同時に、そんなジャージー男子のお肉をいただいて、
その美味しさを知ってから、岩手の中屋敷さんと一緒に
ジャージー男子の飼育をはじめたり、
熊本の井さんのジャージーを扱わせていただいたり、
お肉の良さを知ってもらうことで、ジャージー男子の可能性を広げられないか、
と、取り組ませてもらっています。
そんな一筋縄ではいかない可能性(笑)に取り組んでいる人たちは
全国でもまだまだ少ないので、狭い業界の中、
感覚が近い国分牧場さんとも出会わせて頂き、
神津牧場さんともあちこちから繋がりができ、といったところです。
また、この日は少し時間に余裕があったので
搾乳への行列前の放牧地から、肥育や哺育の現場なども見学させて頂きました。
そして、今回出荷になった子は、この日に仲間たちと一緒にやってきて、
約10カ月間、埼玉の国分牧場で肥育されました。
国分牧場にやってきた時の月齢は29カ月齢でした。
通常であれば、29カ月齢はすでに出荷される時期なのですが、
神津牧場でゆっくりと育成期を過ごされていることもあり、
10カ月間かけて、国分牧場でお肉として仕上げられた形です。
埼玉県産の稲ワラと、モネンシンフリーの配合飼料。
そして、「コエドブルワリー」さんのビール粕たちを食べて、
38.8カ月齢で、最終的には生体重714㎏、枝重387.5㎏になりました。
実際の内容はこちらです。
モモは赤身ながらも程よくサシが入っていそうな雰囲気も。
体型やロースの感じはジャージーらしい内容です。
同じく、神津牧場さんからやってきた去年夏に扱わせて頂いた子も
とても評判良かったので、今回の子も楽しみにしています。
バラが薄いので、今回は先にバラ&肩を早めに加工して、
ロース&モモはさらに+1週間枯らしてから加工予定です。
今回の子もふるさとの母さんジャージーたちや、
育てのお父さんたちの努力や想いがお肉に伝わって
愛されてもらえますように。