桜咲く中、新年度スタートとともに岩手・雫石からやってきたのは、
中屋敷ファームのジャー黒♂34.3カ月齢です。
(ジャージー×黒毛和牛)
この子は岩手・奥中山の三谷牧場さんで生まれてから
一週間くらいで雫石にやってきて、哺育を終えた後は、
今年2月に出荷になったジャー黒君とずっと一緒に育ってきました。
この子たちは育ちの地である岩手・雫石の、太陽と大地の恵みを
たっぷり食べて育ちました。
少しずつ内容は変わりながらも一番直近で食べていた飼料の内容は、
「一番草」「有機大豆サイレージ」「デントコーンサイレージ」
「子実トウモロコシ」「くず大豆」「米ぬか」「きのこ廃菌床」です。
国産飼料100%。
さらにいえば、雫石産の比率が少しずつ上がっていってます。
そして、興味深いのが、今回の子も2月のジャー黒と同じく、
父の黒毛の血統は但馬系の血が強い、
『舞菊福(菊安舞鶴-美津福-糸秀)』なのですが、
体型も、仕上がりの重量も、まったく違いました。
ほぼ同じ月齢で、前回の子が生体重750㎏だったのに対して、
今回の子は933㎏と、200㎏近く違います。
生体の時点で、もともと体高もあって、大きいと聞いていました。
父が一緒であれば、母さんジャージーの違いが出たりするのかなって思って
調べてみたら、今回のジャー黒のお母さんはこの子を
2歳のとき、初産で産んでいました。
前回のジャー黒の母は6歳くらいのベテラン母さんです。
お母さんたちそれぞれのタイプがあるのでしょうけど、
若い力みたいなのもあるのかなって思わず想像しちゃいます。。。
枝肉は563㎏までになりました。
生体→枝肉の歩留りは60.3%です。
実際の内容はこちら。
体高があるという話の通り、体躯全体の容量が大きいイメージで
枝肉の引きも長くて、胴切りした位置が低くて、
しゃがみこんで見る感じでした。笑
そして、中屋敷さんの育ちにしては珍しく、
皮下脂肪をつけちゃっていました。
もともと、本人が持っている要素に加えて、
餌と飼育期間のバランスなのかな。。
赤身部分はバランス良く、愛されそうな肉質です。
少し前の3月末、岩手にいって、今までの自給飼料の内容と、
それぞれの餌を食べて育ったお肉の分析結果の話を聞いてきました。
4時間半、夢中で聞いた話の中で特に印象に残った点です。
・飼料による差は赤身ではなく、脂肪にでる
・脂溶性のビタミンA・Eは残留しやすい(水溶性のCは流れていきやすい)
・その脂溶性ビタミンたちは赤身の中にある細胞膜(脂でできている)にもいる
・そのため、摂取ビタミン量で酸化、貯蔵性は変わる→多いほど、貯蔵性は上がる。
(↑牧草・茎葉たちにはβーカロテン(=ビタミンAに変換)が多い。
それらは蓄積されるので、それらを食べて育った脂はクリーム色になる)
・吊るしとウェットで貯蔵性に差がでる→吊るしで改善
・身体(内臓)をつくる目的の放牧なら、草は贅沢過ぎない方がいい→運動量が少なくなる
そして、お肉たちのリアルな感想をお聞きしている自分からは
自給飼料の中でも、できるだけ粗飼料主体の餌で仕上げられるのであれば、
その方が品種特性が出る感覚があるし、私たちが向かうところとして
求められていると思う旨をお伝えしました。
とはいえ、生き物としてはもちろんのこと、重量含め、
お肉としても仕上げないと継続できないので、バランス感覚が必要で、
ここから先はそれぞれの専門家に信頼してお任せするところです。
さらに、またGWには3年ぶりに料理人さんたちと
岩手産地ツアーを計画中です。
なんだかとっても久しぶり。わくわく。
今回のジャー黒のお肉も送り込みつつ、
この子のお母さんジャージーにも会える予定なので、
ちゃんとご挨拶してこようと思います。
時間差で、東北はちょうど桜が咲く頃。
また今後に生かせるよう、良き時間を過ごしてきます。