牛も人も心配になるくらい、突然やってきた夏の暑さ。
そんな合間をすり抜けてやってきたのは、井さんのあか牛・信行牛。
こちらの自家産女子です。
「牛舎がある場所は風が吹き抜けるから暑さはやや穏やかです。」
と、雅信さんから聞いて、少しホッとしました。
<牛舎の近くにある池山水源>
こちらの名水を井さんの牧場の牛たちも飲んでいます。
井さん親子が地域の資源を生かしながら、
国産飼料100%であか牛を育てる様子はこちらの動画をご覧ください。
『希少和牛”くまもとあか牛”を手作りの100%国産エサで育てる信行牛』
草食動物である牛の生理にできるだけ沿った飼い方で
早く大きくなるようなタイプの餌たちではないので、
お肉として仕上がるのに時間がかかります。
今回の子は中でもゆっくり育つ子だったようで、特に長めの37.5カ月齢。
雅信さんは、仕上がったお肉に対して、料理人さんから頂く声があれば、
その理由と考えられることにエサを対応してくれたり、
牛も人も持続可能であるよう、環境を整える努力をしてくれています。
『伝承は衰退』
という言葉を聞いたことがあるけど、
父である信行さんが作り上げたものを守り続けるだけでなく、
繋ぐために改善していく努力をされている、息子の雅信さんが
今後やられていくことを引き続き、応援していきたいと思います。
そんな今回の子の格付けはこちら。
この月齢にしては重量が小ぶりで、時間をかけて
じっくり育ってきたことが伝わります。
肉色(BCS)、脂の色(BFS)は共に『5』でいつも通り、
しっかり濃いめで良かった、と。
出荷予定の直前に一緒の部屋で暮らしていた子にツノで
突かれたようで、バラとモモにアタリ傷が出てしまいました。
が、枝肉に先立ってやってきた内臓セットに、レバーの廃棄はなかったので
身体の内部としては健康体だったんだなと想像できて、それはホッと。
実際の枝肉内容はこちらです。
肉色がいつもよりちょっと濃いめに見えるのは
と畜から枝でこちらに入荷するまでがいつもより長かったため。
ロースのコザシ加減や、筋間や皮下の脂つきの無駄ない感じは
いつもの井さんらしい仕上がりです。
涼しい風が吹き抜ける阿蘇・産山村の放牧地と牛舎で育ち、
暑さの合間を縫ってやって来た子。
じっくり育て上げた時間が赤身の味わいに乗っていることを期待しつつ、
7月中旬あたりに加工予定です。