先週、久しぶりに岩手にいってきました。
気付いてみれば、今年初。
一時は毎月のように、深夜バスで牛のお世話をしに通っていたので、
自分も一番のホームだと思ってるし、
周りからもそういう風に見られていたりするけど、
コロナ禍の3年間がきっかけでいろいろ変わってしまったことが
多いなぁと感じます。
最近は芝浦のセリにも岩手の生産者さんたちが上京されて
立ち会われることが戻ってきて、「わー久しぶり!3年ぶり?」
っていう会話をしょっちゅうしています。
やっぱり直接会って話すのって大事。
自分も何かしらの理由にかこつけて、どんどん産地訪問を
また再開していこうと思います。
そして、ちょうど中屋敷ファームの今回の子も
出荷前だったので、嬉しいことに直接ご挨拶することができました。
今回の子はいつもと同じく、奥中山の三谷牧場で生まれて
1カ月くらいで中屋敷ファームにやってきました。
そして、1歳を迎える夏には同級生たちと一緒に
5月末~10月末までの約5カ月間、放牧地に上がりました。
そして、放牧地を下りてからの1年半はいつもの
中屋敷さん手づくりの国産100%のゴハンを
最後まで食べて育ってきました。
「一番草」「有機大豆サイレージ」「デントコーンサイレージ」
「子実トウモロコシ」「くず大豆」「米ぬか」「きのこ廃菌床」のMIX。
頭の3種類は中屋敷さん自身が育てて収穫したもの。雫石産です。
飼料自給率25%の今の日本でこれは素晴らしいこと。
この餌を食べて育った特徴として分かりやすく何が違うかというと、
カロテンがたくさん含まれている、牧草やデントコーンの茎や葉も
入っているので、脂にそのカロテンが残って、
クリーム色がかった脂の色になります。
そして、今の日本の格付け評価でいくと、脂の色は
真っ白が最上級で、黄色味が濃くなれば濃くなるほど
評価は下がるので、通常の枝肉のセリで販売する農家さんたちは
こういった餌を育成の時期にあげることはしても、
最後の仕上げの時期にあげることはできません。
でも、世界情勢の影響で、輸入飼料の高騰があり、
いかに地域で餌を自給するかと考えた時、
例えば、トウモロコシの実だけを取るのと(=子実コーン)
茎・葉まで含めたデントコーンサイレージをつくるのでは
実際に取れる量の嵩(かさ)がまったく違うわけです。
もちろん、収穫のための機械も。
「脂の色がクリーム色がかってもOK」という価値観が広がれば
農家さんが牛たちに上げることができる地域飼料の幅は
グッと広がるのだろうな、と考えます。
そして、それが本来、地域に畜産が存在する役割なのでは?とも。
だから、私はやっぱりお肉を扱って届けていく立場の責任として
諦めることなく、このことを伝え続けていきたいと思います。
そして、今回の子の実際の枝肉内容はこちらです。
33.2カ月齢で、枝重量367㎏、B2。
ロース芯。
バラ。
モモ。
脂質。
切開面。
枝肉全体。
ちなみに、通常肥育牛との脂の色の違いはこんな感じです。
いや~、良い内容です。
脂質の良さと、ロース芯のきれいな真ん丸の形と
赤身の中の程よいサシ加減。
今回の子はジャージーにしては結構入ってるタイプの方です。
私は今や、このクリーム色の脂をみると安心するようになりました。
逆に、この内容の餌を食べてきて、白上がりの脂だと
「どうした?大丈夫か?!」って思っちゃいます。笑
私にとっては大満足な内容だったので、
枝肉の下見中も知り合いが通るたびに呼び止めて、
「見てみて~。うちのジャージー美味しそうでしょ♪」
と自慢してしまうわけでした。
(忙しい朝の下見時間、ウザかったに違いない・・・)
そして、この一目惚れの精度は最近、上がってきたように感じるので
今回の子も楽しみです。
これから枝で少し枯らしてGW前あたりに加工予定です。
ちなみに、先週の岩手は、雫石から久慈まで移動し、
そちらで短角牛を育てる田村社長たちと打合せをした翌日は
三陸鉄道に乗って海沿いを通って、宮古まで。
宮古の魚菜市場をのぞいて楽しんだ後は
今度は川沿いをバスに揺られて、盛岡まで。
盛岡では初めてのわんこ蕎麦も経験し、
定番の焼肉&冷麺で締めて東京に帰りました。
私は間違いなく、牛たちのおかげで楽しい時間を
過ごさせてもらっているので、こちらも全力で
彼らのお役に立てるよう、頑張っていこうと思います。