全国のマニアック牛種ファンの皆さま、お待たせしましたー!
(そんな人いない?!)
お久しぶりに聞き慣れない牛種の掛け合わせの子が
埼玉・東松山の国分牧場からやってきました~。笑
ミルキングショートホーン×エアシャーのお母さん牛に
黒毛を掛け合わせた、この子ポッキー♂です。
はい、こんな血筋の子が生まれてくる牧場は
私が知っている中では東京・八王子の磯沼牧場さんしかありません。
実際に、この子も磯沼牧場生まれです。
この子の生まれた家系図をたどっていくと、
まず、この子のお祖母ちゃんに当たるミルキングショートホーンの
「ミルキー」さんが生まれて2カ月くらいの頃、
私は初めての磯沼牧場にお邪魔していました。
2017年12月のことです。
通常のショートホーンは短角牛で見慣れているけど、
「ミルキング」ってつくと、白いマーブリングがあちこちに入ってきて
正にその名の通り、コーヒー牛乳のようで可愛らしいかったです。
めでたく、磯沼牧場6品種目の乳牛誕生とのことで
少し前にその誕生を知っていた私は
「おーーーあの子が話題の!!♡」って感じでした。
そして、こちらはその後、2020年4月の成長したミルキーさん。
>ミルキングショートホーンは乳肉兼用種の体質もあります。
>兼用種は初産を産ませてミルクが取れる個体の場合は繁殖を重ね乳用に利用する場合と
>飼料を身体に貯えると太ってきますので肥育に向けて肉利用となります。
>草資源の利用性が高い=粗食に耐える力があるので開拓地や高地にも適応する。
>過酷な自然条件下でも生き残る生命力、繁殖力、病気に強いなど良い面もあります。
>乳量の少ない所はむしろ、乳質の高さが期待できるので
>チーズなど加工に向いているとも言えます。
>エコフィードの利用性も高いのは優れていますし
>乳用種の改良の進んだホルスタイン種と対照的だと感じています
とのこと。
そして、お祖父ちゃんにあたるエアシャーはこんな品種です。
磯沼牧場では以前、エアシャーの種牛を飼っていて、
受胎しずらい雌に最後の種付けとして
自然交配をされていたことがありました。
ミルキーさんも自然交配でエアシャーの血が掛け合わされて
今回の子のお母さん「シルキー」さんが生まれたそうです。
そして、シルキーさんに黒毛和牛の血をかけて
生まれてきたのが今回の子になります。三元牛。
磯沼牧場さんは住宅地の中にあるので、
牛たちがお腹をすかせて鳴いて、近隣に迷惑をかけないように
粗飼料はいつでもたっぷりあげてあげていること。
加えて、酪農家さんなので、
人間用には出荷できない生乳がどうしても出てくるので
そちらを哺育中の仔牛たちにあげていること。
(通常の農家さんの哺育は粉ミルク)
そんなこともおそらく育成の良さに繋がっているのかなぁと
想像していますが、磯沼さんのところからやって来た牛たちは、
その後の育ちが良いイメージがあります。
そして、国分牧場さんに9カ月齢でやってきてからは
モネンシン(抗生物質)フリーの餌と、
コエドビールのビール粕、地元の稲わらなどで、
約1年かけて、立派に育て上げてもらいました。
黒毛和牛を掛け合わせた交雑牛を21カ月齢で出荷するのは
国分牧場としては比較的早い方でしたが、
枝肉の仕上がりはとてもバランス良かったです。
生体重714㎏で、枝重量417㎏なので、歩留り58%。
BMS3点のB3。
ロース芯。
バラ。
モモ。
脂質。
切開面。
枝肉全体。
この通り、重量含めてとてもバランスの良い仕上がり。
ロース芯は綺麗な真ん丸の形で育ちの良さが伺えます。
バラは黒毛の血が入っているならではの厚みとサシで
使い道の幅が広がるなぁという印象。
3等級は久しぶりですが、このくらいのサシの入り方だと、
ちょうど食べるのに心地よいくらいだろうなぁと。
特に国分牧場の牛たちの脂質の軽やかさはいつも評価されるので。
交雑牛としては月齢も比較的若めなことが
味わいや繊維感にプラスに表れてくれて
さわやかに好まれる肉質であることを期待しています。
ミルキングショートホーンとエアシャーが入った、
貴重な血筋の王子「ポッキー」。
もう少し枝で枯らして10月20日過ぎに加工予定です。