【入荷情報】中屋敷ファーム・ジャー黒♂35.4カ月齢

前回、褐黒たまこのお肉がとても好評だった、
中屋敷カルテットの、次の子がやってきました。
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続いてやってきたのは、右から2番目のジャー黒です。
カルテットの中では唯一の去勢くん。
女子たちに囲まれて育ってきたからなのかな、
なんだか優しい感じの子でした。

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<2年前の放牧地にて>

この子の育ってきた経緯は、前回のたまこと一緒です。

【入荷情報】中屋敷ファーム褐黒たまこ♀33.3カ月齢~①育ち編

大きなポイントは1年目の夏の約半年を放牧地で過ごしていること、
そして、山を降りた後、食べてきた餌が国産飼料9割以上で、
その内容が中屋敷さん自身が育てた有機大豆のサイレージ、
一番草、デントコーンサイレージを主体にしたものであること。

こんな青々しい餌を最後まで食べているのは日本の肉牛では
とても珍しいことです。
タンパク源の大豆もとても大事。
「食べたもので身体はつくられる」っていう通り、
結果は正直に、枝肉の内容や味わいに表れてきます。

中屋敷さんのところには一時、毎月のようにお邪魔していたので、
実は、この子にもミルクをあげていたし、
いつも隣にいるジャージー♀と一緒に成長していく姿が残っていました。

【2018年8月】
生まれて3カ月くらい。雫石にやってきたばかりの頃。
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【2018年11月】
良質な粗飼料めいっぱい食べて、強い胃袋づくり。
この時からもうジャージーとペアに。
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【2019年6月】
放牧地にて。
太陽浴びながら好きなだけ青草食べて、足腰鍛えて身体づくり。
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【2019年12月】
山を降りて、中屋敷さんのお手製ゴハンがスタート。
また、ジャージーと一緒に。
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【2020年10月】
コロナが落ち着いた隙を狙って訪問。
牛舎でもなんてのびのび、ノンストレスな様子がうかがえる。。
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【2021年1月】
年明け、最後に出荷の打合せで会いにいったとき。
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ちなみに、この最後に食べている餌は
岩手の奥州市で、未利用資源を発酵・蒸留してエタノールを製造している、
『ファーメンステーション』さんで出た発酵粕たちを宝山の餌に入れたもの。
こちらも地域での資源循環を目指したもので、
お米の他、リンゴやバナナなどの発酵粕が入ってます。
この時の餌はしっかりバナナの香りがして、とても美味しそうに食べてました。

さて、こんな育ちをしてきた子がどんな内容になっているのか、
大好きなジャー黒だけにワクワクとドキドキの半分半分で、
芝浦に会いに行きました。

35.4カ月齢で、生体で749㎏・枝肉で448㎏になりました。
実際の内容はこんな感じです。

ロース芯。
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バラ。
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モモ。
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脂質。
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切断面。
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枝肉全体。
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いやー、期待通りの仕上がりです!
ロース芯は丸くキレイな形で、程よい赤身。(BMS3のB2)
筋間脂肪は薄く、バラは厚みとサシが程よくあって
これなら使いやすそう。
モモも、程よいサシバランスが愛されそうです。
赤身の味わいにジャージーの特徴が出るのを想像するとヨダレもの。
そして、このしっとりしたクリーム色の脂質がたまりません。
ジャージーだけあって、肩が薄くて引きが長めですが、
それにしても十分立派な肉周り。

一般肥育の枝肉との一番大きな違いは、
最後の写真で分かる通り、脂の色がまったく違うことです。
そして、こういう色合いの脂は通常、枝肉市場では敬遠されます。
ある方に聞かれて、「最後まで青草食べてたんです」
って、取組みの内容を伝えたらビックリされました。
「そんな変わったことやってる生産者さんがいるのか」って。

でも、自分のお客さんにこの画像を送ったら
「大好きな脂の色です、絶対美味しいですねー!」
っていう反応がかえってきました。

この価値観の幅が面白いなぁと思います。
それぞれの土地に合った、いろんな育ち方をした牛がいて、
そして、それらの個性を求めてくれる人たちがいてくれたら
研究・生産・流通、各々がチャレンジしながら、
飼い続けていくことができます。
たくさんの人にではなくても、
ちゃんと深く理解してくれる人たちの元にお届けできて、
食べてもらえたら嬉しいです。

この子はこれからご案内して、
GW明けすぐくらいに加工・お届けの予定です。