【入荷情報】国分牧場ブラウンスイス♂22.6カ月齢(デコポン)

今年1頭目のゲスト牛は国分牧場さんのブラウンスイスです。

IMG-5659

IMG-5660

可愛い( *´艸`)
名前は『デコポン』君だそう~笑
生まれたのが2月下旬だから、確かにちょうど旬の頃。

昨年12月出荷のガンジー君に続いて、
東京・八王子の磯沼牧場&埼玉・東松山の国分牧場タッグの1頭です。

IMG-4060

こちらは磯沼牧場から国分牧場にやってきたばかりの、
まだ1歳にも満たない頃。

磯沼さんのところでの哺育は、粉ミルクではなく、
全乳(お母さん牛たちのミルク)。
そして、住宅地が近い環境から、お腹を減らして鳴かないように
粗飼料をたっぷりあげて育てています。
加えて、カカオの殻と、コーヒーの搾りかすを敷料に使われたり、
コエドビールのビール粕をはじめとした様々なエコフィード
(食料副産物を使った餌)も積極的に与えられています。
畜産業を生業とする環境として恵まれた、地方ではなく、
都市近郊で牧場を続けていく1つの形を見せてくれています。

そうして、その後は国分さんのところで、
モネンシン(抗生物質)フリーの餌と、同じくコエドビールのビール粕、
地元の稲わらなどで、育て上げてもらうことで
みんなから「あ、国分さんの味だね」って言ってもらえる、
脂質も軽やかな、安定した味わいに仕上げてくれています。

その中でも、ブラウンスイスは久しぶり。
初めてのコロナ禍で動揺していた2020年8月にやってきた以来の、
1年半ぶりです。
希少品種の中でもブラウンはジャージーと真逆で、
スクスクぐんぐん大きく育つので、月齢もジャージーと比べて
早めに出荷してもらっています。

今回のデコポンも22.6カ月齢で、生体重882㎏まで立派に育ちました。

IMG-5654

ブラウンスイスの乳は乳脂肪分に加え、たんぱく質の含有量が高いので、
チーズやバターに向いている乳を出してくれることで有名ですが、
元々は『役肉兼用種』(農作業用&肉用としての牛種)だったそうです。

愛読書(笑)の『品種改良の世界史』より、抜粋です。

***********************************************************************
【世界的な背景】
スイス北東部原産。歴史の古い品種で、
9世紀頃から役肉兼用種として飼育されていた。
19世紀に入ってから乳生産についても改良されて、乳肉役の三用途兼用の牛とされた。
(アメリカでは乳牛として改良された。)

その後、使役に従事することがなくなり、乳肉兼用種への転換が進められた。
その結果、泌乳量を高めることを改良の第一目標に、産肉性の高い体型を備えることを
第二の目標として改良が進められた。

国や地域による変異がかなり大きい。
ヨーロッパ型とアメリカ型では、体型がかなり違っている。
前者は兼用種で乳肉比率6.5対3.5で、体躯は長く広く充実、
後者は乳用種の特徴をもち、体積は豊かで、乳房は発育良好。

【日本での存在】
本種は明治の後半に奨励品種となり、純粋繁殖(同品種のみで繁殖すること)も行われたが、
わが国では乳肉兼用種という通念からしだいに離れて肉を重視する方面に進み、
兵庫県や鳥取県などの和牛の改良、特に兵庫県但馬地方の肉牛の改良に大いに貢献した。
その後、肉用としての黒毛和種の改良には独自の方針が立てられ、
また乳用種としての用途でも乳量の多いホルスタインに圧倒されて、しだいに減少していった。

***********************************************************************

役肉兼用が先にあり、乳用のが後から加えられたというのは
今のブラウンスイスのイメージからすると意外な気がします。
また、但馬牛の改良に貢献したという点も。

ただ、国や地域による変異が大きいというのが良くわかる通り、
毛色の色合いも結構それぞれタイプが違って、
このデコポンは比較的、濃い色をしている方です。
前に磯沼さんのところに行ったときに「あの子は牛種なんですか?」
って思わず聞いちゃったくらい毛色が白っぽい子もいて、
「ブラウンスイスですよ」って言われて、びっくりしたことがあります。

そして、この子は比較的ヨーロッパ型寄りなのかな、と想像させるくらい、
肉としての仕上がりが優秀です。

まずは生体からの枝肉歩留りですが、生体重882㎏→枝重量532㎏だったので、
60.3%と、ジャージーの平均歩留り55%から考えると5ポイントも高いです。

そして、実際の枝肉内容がこちら。

ロース芯。
IMG-5694

モモ。
IMG-5683

バラ。
IMG-5674

脂質。
IMG-5697

切断面。
IMG-5690

ロース芯が大きく、張りがあるのはもちろんですが、
そのサシの入り方も、今までの国分ブラウンたちの赤身に比べて
バランス良いコザシがロース・バラ・モモ、全体的に入っている印象です。
皮下脂肪や筋間脂肪も厚すぎることもなく、肉周りも良いだろうな、と。

さわやかな味わいが特徴のブラウンスイスですが、
今までの子たちとはまた違った表情を見せてくれるかもしれません。
楽しみです。

こちらは、もう少し枝で枯らして、1月25日前後あたりに加工予定です。

ちょっと間が空いてしまいましたが、久しぶりに
2月頭にBASEでの一般販売も予定しているので、
どうぞよろしくお願いいたします。