【入荷情報】竹の谷蔓牛♂38.9カ月齢

続いて、梅雨入り直前の関東に岡山・新見からやってきたのは
竹の谷蔓牛♂『井武輝1』です。

<竹の谷蔓牛『井武輝1』♂38.9カ月齢>

その名の通り、いろりカンパニーさん初代の種牛、
「井武輝」の血筋を引いた1頭目の男の子だそうです。

<父である竹の谷蔓純血の種牛『井武輝』>

今年の2月に出荷になった「井武輝2」とほぼ同じ誕生日で
3日だけ先輩だったものの、そちらに比べて少し成長が
ゆっくりな子だったようで、4ヶ月遅れての出荷になりました。

この子の出荷一週間前、牧場見学をご希望されたバイヤーさんたちと
お久しぶりに、いろりカンパニーさんにお邪魔してきました。

岡山に到着したら、こんな看板に迎えられて
久々の訪問にテンション上がっていたのですが・・・、
当日は、梅雨前ながら雨降りの一日でした。

とはいえ、雨の中でもこのように、
牛舎の外に出て雨に打たれている子たちもいて、
牛たちは気持ち良さそうに自由に過ごしていました。

「井武輝1」、行く前は牛房の奥の方で寝てたらしいのですが、
私たちが行くと、ちゃんと人懐っこく寄ってきてくれました。

<可愛い♡>
<この立ち姿、最高です>

希少な血統の「竹の谷蔓牛」に向き合わせて頂くのは
今回で6頭目になります。

1830年に岡山・新見で誕生した竹の谷蔓牛は、
黒毛和牛の基礎をなす血統の元祖であり、
登記上は「黒毛和牛」になるのですが、
改良されていないので、サシが入りずらく、
大きくもなりずらい、昔ながらの和牛です。

そのため、今の経済効率優先の価値観においては、
評価されず、どんどん飼う方が減っていて、
現在、純血は全国で50頭もいないくらい、とのこと。

ただ、全国の黒毛の生産者さんたちの中でも
生産にこだわりを持っている方々にとって
この「竹の谷蔓牛」はどこか憧れの存在であり、
自分が知っている生産者さんたちでも、
導入されて育てられている方々が何人かいらっしゃいます。

全国各地の個性ある牛肉を扱わせて頂いている自分からしても
こういった絶滅危惧種的な存在ほど、実は
素晴らしい価値を秘めていると思っています。
いつもお話しているテロワールある牛肉そのもの。

そして、この血統を残すために流通に携わる自分ができることは、
この名前と美味しさをできるだけ多くの方々に知ってもらう、
そこに注力するのみと思っています。
美化して神格化するのではなく、身近にある存在として。
なので、最初はその名を知らなかったシェフの方々でも
頭数を重ねるごとに、どんどんリピーターが増えていることは嬉しく、
さらには、そこで召し上がった食べ手の方々にもこの名前を少しずつ、
認識してもらえていれば、と願います。

もう少し詳しく知りたい方がいらっしゃいましたら
竹の谷蔓について詳しくまとめたブログはこちらになります。

竹の谷蔓牛のこと。 | 東京宝山

今回の「井武輝1」は38.9カ月齢まで育てられて、
結果的に、440㎏・B2(BMS3)になりました。
竹の谷蔓らしさ全開の格付け、最高です。笑
実際の内容はこちらになります。

ロース芯。

モモ。

切開面全体。

枝肉全体。

細かいマーブリングの入った2等級であり、
赤身とはいえ、竹の谷蔓特有の細やかな繊維感が
ここからも伝わってきます。
じっくり時間をかけて、よくぞここまで成長してくれました。
私たちの元にやってきてくれてありがとうございます。

4・5等級が9割以上を占める今の黒毛去勢の中で
38カ月齢の2等級はある意味、本当に貴重なものです。
牛たちの世界にも価値観の多様性があってもいいよね、と。

ちなみに、次に出荷予定の子も見せて頂いたのですが、
さすが竹の谷蔓らしく、28カ月齢とは思えないほど
小ぶりな子だったので、年内出荷は難しそうです。
というわけで、今回の子が2025年最後の竹の谷になるかと。笑
お届けを途切れさせないように努力はしていくので
牛たちの成長に気長にお付き合い頂けたら幸いです。

今回の子はもう少し枝で枯らして、6月20日頃の加工予定です。